朝3時半に起床。5時からの梶原さんの窯焚きに向かう。コンビニで白おにぎりと梅干し、万が一眠くなった時に備えて黒いガムも買う。
空はまだ暗い。月が曇った黒い空の中で光っている。窯にはすでに火入れがされていた。ぱちぱちと火が鳴り、全く朝が来る様子がない。暗さ。
全て梶原さんの手で作られた窯は生き物のようで、以前見た時とまた少し形が変わっていた。手前をスパーンとカットしたように、以前の丸みから変わっている。鎌をグラインダーで研いでそこにある松の皮を剥いで、薪をここにいっぱいおいてと仕事を受ける。私は上手くできなくて、手こずりながらも、なんで皮を剥ぐんですか?と聞くと、美しくないからと言われた。昔の有田の大皿にはこういった窯焚きから焼き物が出来上がるまでの工程が細かく描かれたものが残されている。今も昔も変わらず果てしない作業工程がある。火に入れる薪すらもこんなに下準備がいるのかと思った。
後ろ姿。白いシャツにベージュのスラックス。白い靴下と草履。皮を剥いですぐ箒で履く仕草。女方のような後ろ姿。
暗闇の中でゆらめく炎と佇んでいた。その後ろ姿が闇の中に消えてしまいそうで、美しくて、夜明けを待ちながらずっと見惚れていた。