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山の中にいると、突然すべてが白く覆われ、目の前の景色さえ見えなくなる瞬間がある。
湿度を含んだ光の中で、山々は輪郭を失い、静かに滲んでいく。ぼんやりと霞み、目の前にあるのに触れることのできない風景。ガラス窓越しにその様子を眺めては、幼い頃の記憶を思い出していた。幼少期の私と現在の私が、その白い膜の向こう側で静かに接続されたような感覚があった。
冬の時間。氷と雪による透明な世界がやってくると、その透明な中に閉じ込められた、春を待つ植物たち。薄氷越しに覗くそんな緑たちと目が合うと、次の季節へとまた繋がっていく。その曖昧に広がる景色を、洋服の中に閉じ込めたいとさまざまなテクスチャーを生地で作ってみた。早朝の雪の細かな粒子たち。秋の薄の音。霧越しに覗く、風に揺れる草花のダンス。色が溶け合い、記憶のように揺らぐ質感を作り出すこと。
輪郭を描くのではなく、見えない景色をお洋服を通して皆さまにお届けできたら幸いです。
